本記事では施工管理ってそもそも何?といった基礎的なことに加え、施工管理の仕事内容ややりがい、つらい点など、施工管理が理解できるよう解説していきます。
気になる給料については、現役施工管理職のよしぼうの給料明細を大公開します!
~こんな人に向けて書いています~
- 施工管理を目指したいので、仕事内容ややりがいをくわしく知りたい人
- 施工管理を目指すにあたって、あらかじめきつい点を知っておきたい人
- 施工管理に就職したらどのくらい給料がもらえるか知りたい人
そもそも施工管理って何?
そもそも「施工」とは“工事を実施すること”です。
実際に工事現場で手足を動かして工事をするのは職人たちの役目で、施工管理者は職人が行なう工事の進行の調整や品質の確認、必要な資材の発注、安全に作業ができるような段取りなど、工事を計画通りに進めるために管理を行ないます。
施工管理には「施工管理技士」という国家資格があり、7種類あります。
- 建築施工管理技士
- 土木施工管理技士
- 電気工事施工管理技士
- 管工事施工管理技士
- 電気通信工事施工管理技士
- 造園施工管理技士
- 建設機械施工管理技士
すべての種類の資格に1級と2級が存在します。
ちなみに僕は設備会社に勤務していて、上記の4の「管工事」を扱っています。2級ですが、管工事施工管理技士の資格も取得しました!
施工管理のおもな仕事内容
先ほど施工管理の仕事は「職人が行なう工事の進行の調整や品質の確認、必要な資材の発注、安全に作業ができるような段取りなど、工事を計画通りに進めるために管理を行ないます」と伝えましたが、その“管理”には大きく「安全管理」「品質管理」「工程管理」「原価管理」の4つが存在します。
これを業界では「4大管理」と呼んでいます。
では4大管理のそれぞれについて解説していきます。
安全管理
作業現場の安全管理は、4大管理の中でもっとも重要です。品質やスケジュール、予算も大事ですが、まずは安全に作業できる環境を整え、第三者も含めて危険やケガがないように工事を進めるのが大前提だからです。
まず作業の前に前もって危険な場所への看板の設置による注意喚起や、チェックシートによる足場の点検、作業で使う機器の安全点検、落下する可能性のある箇所への手すり・落下防止ネットの設置などを行ないます。
また現場の朝礼では「KY」と呼ばれる「危険予知」について周知を行ないます。その日の作業のなかで危険が発生しそうな作業と、どう対策して危険をなくすのかを作業者全員に教育してから作業に入ります。
同時に職人含め作業者の健康状態の確認も行ないます。
あとは、作業者だけでなく第三者の安全も確保します。例えば道路を掘削する際は、コーンやバーで歩道の確保をしたり、警備員を配置して歩行者を誘導する、道路を掘削した穴に人が落ちないようバリケードを設置するなどです。
現場作業は他の業種と比較して、危険な作業が発生しがちです。それを未然に防ぎ、事故やケガがないようにするのが安全管理の仕事です。
品質管理
例えば建築物の場合、国や地方自治体が定める建築基準があります。その基準を満たす建物が完成できるように、材料や作業内容を管理する業務を「品質管理」といいます。
僕の勤める設備会社では「管工事」を行なっていますが、例えば搬入された機器(エアコンや便器など)や材料(塩ビ配管など)が、設計図書や仕様書と同一のものかを確認します。
基本、すべてのことについて、写真を撮って証拠を残すようにします。
また施工にあたっての品質基準が守れているかも確認します。例えば配管を天井からつるす場合、つるす金具と金具とのピッチ(間隔)は規格内におさまっているか、排水配管の勾配(傾き)は基準以上か、給水の配管に圧力を掛けて圧力が下がってこないか(漏れがないか)などを確認し、こちらも写真におさめます。
天井などにつるした配管だと、天井にボードを貼られた後では、つるす金具と金具とのピッチが確認できなくなりますし、排水の配管も床を貼られた後では床下に隠れてしまって確認ができません。
そのため、都度品質を確認し、品質の規格を確保している証拠の写真を撮るのが重要なのです。
工程管理
工程管理は、予定された工期を守るために行ないます。これをおろそかにすると、工期の遅れに直結します。
まず工事にあたって工程表を作成します。工程表とは工事着工日から竣工(完成)日までの期間におこなわれる各工事を時系列順にまとめた表のことです。
工程表通りに工事が進むよう、作業人員の確保や機械・重機の手配、機器や資材の手配、作業方法の決定などを行ないます。
各工事は密接につながっており、例えばAという工程が終わらないとBの工程に着手できないといったことが発生するため、ひとつの工程の遅れが全体の遅れにつながります。
そうならないためにも、工程管理は必要不可欠な業務といえるでしょう。
原価管理
原価管理とは工事完了までのすべての工程を、決められた予算内で完成させるよう、人件費や材料費などの原価を計算して管理する業務のことをいいます。
そのため、工事の進捗状況とともに都度、予算と現状との差異をチェックしなければいけません。
実際の業務では、計画外のこと(トラブルなど)が発生することがあるため、なかなか計画通りに進めるのが難しいのですが、最初の段階でいかに緻密に予想できるかや、トラブルを想定して予備費を確保できるかなどがカギとなってきます。
施工管理の仕事がきついと感じる点6選
施工管理の仕事は多岐にわたるため、きつい、つらいと思う点がどうしてもでてきます。ここでは6事例をご紹介します。
残業が多い
施工管理の残業が多いと言われる理由として、作成する書類関係の多さがあります。とくに公共工事では、工事の種類にもよりますが、5cm厚ファイル数冊分におよぶ膨大な書類を作らなくてはいけません。
基本的に日中8時から17時は現場につきっきりとなるため、現場が終わって帰社後にしか書類関係を進めることができません。
書類作成は深夜にまでおよぶことが多いため、残業時間も多くなってしまうのです。
勤める会社の、書類作成のバックアップ体制がどうなっているかで残業時間はだいぶ変わります
僕の会社の場合、工事写真の整理は担当者が行ないますが、その他の書類に関しては別のスタッフが分担して行なうため、残業は2時間ほどで済みます。
逆に、工事担当者が書類もすべて受けもつと、残業時間も膨大になってきます。なかには80~100時間オーバーになることもあります。
休日が少ない
工事のスケジュールは土曜日や祝日も含めた工程になっていることが多く、そのため施工管理の休みは少なくなりがちです。
とくに工事に遅れが出てくると、日曜日を使って挽回することがあり、余計に休みが少なくなります。
これも勤める会社のバックアップ体制よるところが大きいですね。僕の会社では、常時とは言いませんが、複数人で案件を担当します。そのため交代で休みを取ることが可能となっています。
ひとりで担当する場合、その現場のことを分かっている人が担当者のみとなるため、なかなか休むことができません。
ただ、国土交通省より、令和6年4月から、建設業にも罰則付きの時間外労働の上限規制を適用することと、週休二日対象の公共工事を拡大することで、建設業界の週休2日制を推進していくという発表がありました。
そのため、改善の方向に大きく向かっていると言えます。
人間関係でわずらわしさがある
施工管理は発注側と現場作業者(職人)側の中間に立つ立場であるため、両者の調整が苦労する点です。
また職人は昔かたぎの人が多く、やりとりが大変と思う人もいるようです。
どこの会社でもそうですが、中間管理職的なポジションは、気苦労が多くなりがちです。
ただ良い点は、現場が完成したら、施主や職人とのつきあいも一旦チャラになります。次の工事でまた同じ施主や職人と付き合うことになるかもしれませんが、現場ごとに人間関係が一旦リセットされる点はメリットとも言えます。
まあ、どうしてもうまく付き合えない職人さんがいる場合、次は別の職人さんに仕事を頼むことも普通に可能ですよ
仕事量に給料が見合っていない
この業界の年収の平均は500万円程度と言われていますが、前述の「残業が多い」「休日が少ない」ことがあるため、やっている仕事量に見合った給料をもらっていないと感じる人が多いようです。
中には決められた予算におさめるため、自分の残業分を減らして計上する人もいます。自分の人件費も工事予算に入っているため、自分の残業が多く計上されることで予算がオーバーするのを防ぎたいからです。
体力的に厳しい
体力的な厳しさは、外の環境によるものが多いです。たとえば工場やオフィスの場合、エアコンや扇風機がありますが、工事現場にはそれらのものは大抵ありません。
代わりに最近では空調服を支給する会社も多くなり、昔と比べれば暑さ対策は進んでいます。
また、労働時間の長さや、材料などの運搬に伴う力仕事なども体力を奪う要因です。
いずれにしても体力を使う仕事であることは間違いありません。
転勤や出張が多い
大きな会社の場合、担当する現場・プロジェクトごとに勤務地が変わることがあります。そうするとなかなか家に帰ることができません。
さらに大きな会社では、海外勤務もあるようです。
ただ、地場の会社では特定のエリアでの仕事に限られるため、転勤になるケースはほとんどありません。実際僕の会社も、同じ市内の仕事がほとんどであるため、他の社員も含めて転勤や出張になるケースはゼロです。
施工管理のやりがい、メリット
施工管理の仕事はきつい点もありますが、それ以上にやりがいも多いです。実際僕も施工管理の仕事に従事して、それを肌で感じています。ここでは5つのやりがい・メリットについて解説します。
他の業界と比べて給料が高い
施工管理職の平均年収は、500万円ほどといわれています。これは日本人の平均賃金より70万円ほど高い傾向です。
この給料の高さも「やりがい」につながります。
先ほどの「施工管理の仕事のきつい点」で“仕事量に給料が見合っていない”という話が出ましたが、それでも他の業種と比較して給与水準が高いのは間違いのないところです。
この後、設備会社に勤務する僕の給料明細も公開しますのでお楽しみに!
仕事量が豊富で安定した業界
人々の暮らしを支えるためのインフラ整備、新規の建築や老朽化による改修など、この業界は需要がとても高いです。そのため仕事がなくなる心配が非常に少なく、長期的に安定して働ける業界といえます。
ひとつの業界でどっしり腰を据えて、長期間働きたい人には魅力的な業界といえるでしょう。
現場が終わった後の達成感が大きい
現場では日々いろんなことが発生し、大変な毎日です。ですがその大変さを乗り越えて工事が完成したときに、非常に大きな達成感があります。
僕の体験談ですが、あるショッピングセンターの給水、排水全般の工事を担当しました。スーパーマーケットやホームセンター、某有名喫茶店や100円ショップなど、10店舗ほどが入る施設なのですが、完成して、実際に多くのお客さんがそのショッピングセンターを利用しているのを見て、ものすごく達成感を感じました。
施工管理の仕事は、かならず誰かの役に立ち、社会貢献につながる仕事です。大きな誇りとなることは間違いありません。
資格を取ることでキャリアアップが可能
この業界では資格を取ることで、確実にキャリアアップができます。他の業界では、上司の一方的な判断で評価されることが多いですが、経験を積んで資格を取るほどに施工管理職としての価値が確実に上がっていきます。
例えば設備会社に勤める僕の場合、関連する資格は以下のようなものがあります。
- 管工事施工管理技士
- 給水装置工事主任技術者
- 下水道排水設備工事責任技術者
- 土木施工管理技士
- 冷凍機械責任者
- 冷媒フロン類取扱技術者
- 消防設備士
- 浄化槽設備士
施工管理技士には1級と2級があり、これらをすべてコンプリートするのはかなり難易度が高いです。実際に僕は上記の資格のうち、3つを取得しました。
資格を取るごとに資格手当も増え、給料も確実にアップしていくため、挑戦のしがいがあります。
マネジメントの能力が身につくため転職の際に有利
施工管理は発注者や施主、設計、元請会社、下請け会社や職人など、多くの人と打ち合わせ、調整をしながら工事を進めるため、自然とマネジメント能力が身につきます。
このマネジメント能力はどの業界でも評価され、通じる能力です。そのため、いざ転職をしようとした際に非常に有利です。
またマネジメント能力が高まることで、工事もスムーズに進めることができ、自分の成長を感じることにもつながります。
現役設備施工管理の僕の給料明細を大公開!
施工管理に就職を希望している人は、実際に年収が500万円ほどもらえるのか?気になることと思います。
ここでは、設備会社で管工事の施工管理職として働くよしぼうの実際の給料明細、賞与の明細、あとは取得した資格の資格証を公開します。
※身バレを防ぐため、多くの箇所を黒塗りにしています。ご了承ください!
まずは給料明細を2枚公開します。
黒塗りが多くてすみません・・・。写真1枚目は、手取りが289,710円、残業時間は27時間のものです。2枚目は手取りが345,003円、残業時間が40時間、休日出勤が9.5時間のものです。
平均すると給料は29.5万円ほど、残業時間は休日出勤とあわせて月に30~40時間ほど、ちなみに年間休日は110日です。
次に賞与です。
2枚とも、手取りで30万円前後となっています。賞与はウチの会社はさほど多くありません。
年間で見ると、総支給額は532万円ほど、手取りは414万円ほどになります。この業界の平均レベルともいえますね。
また、僕が取得した管工事関係の資格は以下のようなものがあります。
1枚目、2級管工事施工管理技士
つぎに2枚目 給水装置工事主任技術者
3枚目 下水道排水設備工事責任技術者
いかがだったでしょうか。生々しいデータをお見せしましたが、この業界への転職を希望する方への参考になれば幸いです。
まとめ
本記事では施工管理の仕事内容ややりがい、つらい点などについて解説しました。また給料明細も公開しました。
施工管理はきつく感じる点も多いですが、実際にはやりがいの方が大きく、非常に魅力的な仕事です。僕も施工管理の職に転職し、いろんな現場を体験することで実感しています。
ちなみに僕は転職エージェントを使って、工場勤務から、異業種であるこの業界に転職することができました。転職を考えている方はこちらの記事も参考にしてください。